1.財団法人アジア刑政財団は、2000年5月3日国連経済社会理事会の決定により、国連に対しての協議資格が、従来の特 殊協議資格から総合協議資格(general consultative status)を有するNGOへの昇格が承認された。
敷田理事長は、これは財団の国際貢献の第4段階に至ったことを示すと財団のより幅広い活動に取り組むことを決意している。
2. 国連への協議資格とは何か。
(1) 国連とNGO (国連広報センターのホームページに包括的な説明 がある。)
国連の組織及び活動は基本的には国連加盟国政府の拠金及び意思決定を基礎としているが、国連憲章の前文が「我々連合国の人民は(We, the peoples)」で始まっているごとく、国連に期待されている機能は国家だけにより果たされるものではなく、非政府団体つまりNGOによる貢献をも必要とすることの認識とその期待は、国連発足の当初から引き継がれてきた国連の重要な活動原理であるが、近年国連事務総長などによりその重要性が特に協調されるようになった。
(2) 国連への協議資格
国連憲章71条により国連への協議資格を認可されたNGOは、国連や政府機関が召集する各種会議に参加し、検討事項を提案するアドバイザーとして、あるいは、国連が選択した宣言、行動計画、その他プログラムの推進、支援、組織等として国連の目標に貢献することが期待されている。
(3) 国連への協議資格の取得
当該NGOの活動の目的及びその非営利性、組織の意思決定の民主的手続き、会員の数及び代表母体の広がり、国連への貢献度、収入源、政府の関与度などといった事項を、19の加盟国から構成されるNGO委員会が詳細に審査した後、ふるい分けられ、適格のあると考えられるNGOについて経済社会理事会に推薦され、同理事会が協議資格の承認を決定する。
(4) 国連への協議資格の種類
国連への協議資格のあるNGOに、「ロースター」、「特殊協議資格」、さらに最も国連に対して強い権限及び相互関係を与えられている「総合協議資格」の三段階に分類されている。総合協議資格では、特殊協議資格に要求されている関連分野における高度の専門性、会員及びその活動が多くの国にまたがる国際的のものであることに加えて、活動のカバーする分野が経済社会理事会のほとんどの分野に及ぶことが要求されている。つまり、活動の切り口は従来どおり犯罪予防及び刑事司法の分野からであるとしても、例えば、ユニセフが所管する児童及び子供、ユネスコのカバーする文化及び歴史遺産、あるいは人権、難民、UNCTADの産業及び通商といった、経済社会理事会及びその傘下の諸機関の受け持つ広範囲な分野を視点に入れた活動が期待されることになる。言うまでもなく、当財団の国連の活動に対する役割と責任が増大すると共に、国連の諸施策へのかかわる権限もはるかに大きくなり、そのことが当財団の活動を更に幅広く、かつより効果的にすることに繋がる。
(5) 総合協議資格を有するNGO
今回の経済社会理事会の決議の結果、当財団と共に総合協議資格に昇格したベルギーに本部を持ち、昨年ノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団」(Medicins sans Frontieres)などが加わった結果世界的には総合協議資格を有するNGOは約120となる。その中で日本に本部を持つものは、従来開発途上国の植林プロジェクトなどを支援してきた「オイスカ」のみで、当財団が第2番目のNGOということになる。なお、「特殊協議資格」を有するNGOは世界的には約900、その他多数のNGOが「ロースター」として承認されている。 言うまでもなく、犯罪予防及び刑事司法の分野を担当する総合協議資格NGOとしては世界で唯一である。
3. 総合協議資格を有する当財団のこれからの活動
言うまでもなく、犯罪という社会病理はさまざまな経済的、社会的、文化的その他の要素が重なり、か合でも強調されてきたところである。しかし、当面はこの新しい役割に円滑に移行してゆくため、当財団では、現在国連がこの10か年に取り組むべき優先課題の一つとしている「極貧の解消」に照準の一つを合わせてゆくことにしている。
つ相互に深く影響しあって生じるものであり、広範囲な分野から取り組む必要は従来からも当財団の各種会極貧に属する国民の層の大きさは、アジア地域の多くの国々が依然抱える深刻な問題であり、犯罪の防止の観点からも見逃すことのできない事項なのである。特に、これらの国々において見られる貧富の差の拡大、つまり、富の不平等な再分配は社会正義の上からも放置すべきではない現象なのである。
当財団の目指す極貧の緩和は、具体的には、次のような観点や施策をターゲットとして関わることになろう。
(1) 適正な課税及び徴税 富が特定のグループ(個人及び企業)に偏ることのない、かつ活発な再生産を可能にする税 制の体系化、及び税の確実な徴収を可能にする関係機関の職務遂行能力の向上。
(2) 公務員の汚職の摘発及び適正な行政の確保 公務員の倫理規律、有効な監視機関、国民の関心の高揚、捜査及び 公判維持上の問題
(3) 先進国の援助を含む国家資源の適正な分配
(4) 経済のグローバル化に対応した地域内の各国の経済政策、特に経済犯罪の統制の協調関係
その方法は、次のような計画及び活動を施策を通じて行われる。
(1) セミナー、ワークショップ、国際会議などの開催を通して、問題点の掘り起こし、意見の交換、地域的な行動計画 や宣言の採択をする。
(2) 関連した情報や統計の収集、分析及び配布
(3) 各国の国内の関係諸機関との有効な協調関係樹立のための支援
(4) 国民の啓蒙のための各種活動の推進及びその支援